産後のぽっこりお腹・腹直筋離開
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出産したのにお腹のぽっこりが治らない。。。
・出産したのに妊婦に間違われることがある ・お腹がへそ付近から飛び出ている ・お腹のぽっこりが治らずウエスト周りが辛い
など、
ぽっこりと言っても程度は様々。
そもそも妊娠中は胎児の成長に合わせてお腹の筋肉は引き延ばされます。
それと同時に内臓の下垂が起こったり、お腹には大きな張力がかかります。
そして腹直筋離開が起こるとさらにお腹はぽっこりしてしまいます。
その腹直筋離開でも程度や特徴など、個人差はあります。
腹直筋離開とは?
シンプルに言えば、腹筋が左右に離れてしまった状態のこと。
腹直筋(よく6つに割れると表現されるあそこ)の左右をつなぐ結合組織(白線)が真ん中に存在するのですが、
その部分に過剰な張力が加わることで裂けてしまった状態になり、腹直筋の離開が引き起こされることがあります。
主に妊娠中にお腹が大きくなることが原因となります。
妊娠中や産後に気付いたとしても、ほとんどのケースは自然に回復していくのですが、もともとの体の状態・妊娠中の状態・分娩の状態・産後の状態などによっては、離開した部分が元に戻らないままになってしまうことがあります。
おへその周りに起きやすい
おへそを中心に上下に結合組織が裂けるケースがほとんどです。 妊娠中からおへその上下に線が入る方もいます。 産後にそのふくらみが消えずに残ってしまうことで異変に気付き、相談される方が多いようです。 ちなみに、結合組織が裂ける長さ(指数本分)はへそ上とへそ下で差が出たり、その方によって個人差があります。腹直筋離開が及ぼす影響
腹直筋離開によって引き起こされる問題は大きく分けて2つあります。
①機能的な問題 腹直筋が離開することによって体幹筋群(インナーマッスル)の正常な連動性が崩れ 運動機能が阻害されてしまい痛みなどの問題を生じる。
腰痛、背部痛、腸の問題、骨盤痛、尾骨・恥骨痛、股関節痛、尿もれなどの原因にもなる。
②美容上の問題 腹部のポッコリがなかなか回復せず、見た目が変わってしまうことで不快に思ったり、自分に自信をなくしてしまう方もおられます。 人目が気になってふさぎ込んでしまったり、他者とのコミュニケーションが辛くなってしまうという方までおられます。
①②により精神的な苦痛も併発することにつながることも想定されます。 なるべく早期に介入してあげることが大切です。
実は妊産婦のほとんどに起こっている?
様々な文献が存在するため、どれが正確な数字かは判断しかねます。 しかしながら、妊産婦のほとんどと言って良いほどの方々が腹直筋離開が起こっていると言われています。
離開のレベルはともかく、文献によっては9割の方がなっている と書かれているものもあります。
筆者の経験上、「腹直筋離開を何とかしたいんです」と言われる方以外にもお腹をチェックした時に 離開している人は結構いらっしゃいます。
どうやったら良くなるの?
腹直筋離開のうちのほとんどのケースは自然に回復していきます。
離開が完全に修復されなかったとしても、機能的には問題ないレベルまで回復することが多いのです。
筋膜や筋肉の機能、コアを支えるための機能性は残っている。 このような場合は幸運だと考えた方が良いかもしれません。
腹直筋離開は自然に回復する?
通常であれば産後約8週間の頃までには修復されます。しかし、それ以上たってもお腹のぽっこりが顕著に残る場合は何らかの処置をしていかなければ 自然に回復することは難しいでしょう。
まずは痛みの有無をチェック
腹直筋離開でのお腹のぽっこりなど、美容上の問題は女性にとって非常に重要ですよね。
しかし、美容上の問題よりも前に、体の機能面の改善はしっかりと行わなければなりません。
痛みがある場合はなおさら重要になってきます。
筆者の経験によると、腹直筋離開を良くしたいと望んで来院される方の8割以上の方は
美容上の悩み以上に痛みの問題を訴えて来られます。
腹直筋離開は体の支持性を弱くしてしまう
腹直筋離開だけの問題ではありませんが、腹直筋離開があることで コアについている筋肉の連動性は著しく低下します。
つまり支持性がなくなり腹圧が低下、体幹や骨盤が不安定になるということです。
コアの筋肉の連動機能は骨盤底筋群(PFM)にまで影響するため
尿漏れや子宮脱にまで影響を及ぼすこともあります。
ファスナーが壊れてしまった(開きっぱなし)状態といえばイメージしやすいでしょうか?
解消方法は手術orトレーニング
腹直筋離開の解消には、手術かトレーニングを行うか、どちらかに限られると言っても良いでしょう。
産婦人科などでは、主に形成外科などでの手術を勧められることが多いです。
また、痛みがないケースや特に機能面での問題がないケースは
「仕方ない」の一言で終わってしまうこともあります。
医科では命の危険性・緊急性を優先するので、これについては仕方ない部分でもある。
海外ではウィメンズヘルス専門の理学療法士などが存在しそちらを紹介されるケースもありますが
日本ではごくわずかしか存在しないのが現状です。
腹直筋離開の程度をセルフチェック
〈上体起こしテスト〉一般的な腹筋をするように、上体を起こした姿勢での腹部の状態をチェックしてみましょう
・おへその周辺が膨らむ ・痛みを感じる ・おへその上下に縦に裂け目がある(触れると指が入る)
これらの事項が顕著であれば腹直筋離開は重度である可能性があります。
どちらにしてもトレーニングは必要
もしも手術を選択した場合でも、局所を縫い付けて全てが完璧かというとそうではありません。
しっかりとコアリンクの機能を向上させる必要があります。
手術までの間、術後にしっかりとしたトレーニングが必要になります。
手術のタイミングについて
手術を選ぶタイミングは悩むところだと思います。 即手術を勧めるところもあれば、痛みがないから必要ないと言われるところなど、病院によって対応は様々。
次の出産の予定があるなら、そのあとにすべきだとのいう意見もあることでしょう。
ここからは筆者の意見と経験からお伝えしますが
筆者個人としては
最低半年から1年のトレーニングは行ってから手術を考えるべきではないかと思います。
もちろんトレーニングプログラムや整体を行ったからといって
あなたが望んでいる状態を100%実現できる保証はありません。
しかしながら、今までの症例でいえば、痛みなどの機能が回復する状態まではほぼ100%達成しています。
見た目の問題は個人差がありますが、かなりのひどい状態の方も半年もすれば写真でみて
はっきりと分かるほど変化しています。
2ヶ月ぐらいで変化する方もおられます。
このような事例からも、上記のようにまずはトレーニングプログラムを
実施することがいいのではないかと考えます。
あとは生活スタイルやどこまで望むかにもよるかと思いますのでそのあたりは個人の判断になります。
まったくトレーニングをする気がないという方は手術を選択することが先決でしょう。
効果的なトレーニングは?
まず最初にお伝えしたいのが腹直筋離開の解消にはステップがあるということです。 このステップを飛ばしてしまうと逆効果になることもあります。 1例を挙げるならば、一般的に行われる起き上がりの腹筋(カールアップ)はむやみに行わない方が良いです。
最終的には必要な運動ですが、この動きを単体で行うと圧力が下に行ってしまうため
逆に下腹部が出てしまうことがあります。
ステップ1としてはコアの筋肉の連動性を作る。
これが必要です。
連動性については、スクワットやそのほかの日常動作などを行うときにも必要になってきます。
専門家へのご相談をお勧めします
ここでできる限りのトレーニングをお伝えしたいのですが、安易に行って逆効果になってしまうと 元も子もないので 是非専門家の指導を受けてトレーニングプログラムを習得してください。 人生で1度もトレーニングなんてしたことがなかった方もしっかりできるようになったので安心してください。
改善には根気が必要です
腹直筋離開の解消には根気がいります。 どんなトレーニングやダイエットにしてもそうですが地道な努力が必要です。 毎日、忙しいかと思いますが一日10分~20分は時間を作って自分でのトレーニングが必須になります。
まとめ
腹直筋離開は美容上の問題だけでなく痛みなどの機能の問題も引き起こします。 痛みなどの問題がある場合はすぐにでも解消した方が良いでしょう。
痛みがあっても無くても、手術を選択する場合もしない場合も、どちらにせよトレーニングは必要。
トレーニングには必要なステップがあるので
自分で安易に判断せず専門家からの指導を受けられることを推奨します。
少し根気が入りますが、今よりは必ずと言っていいほど良い方向に向かうことでしょう。