不眠について(実践編)
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睡眠の仕組みについて
実践編ではありますが、まずは改めて睡眠についての基本をおさえておきましょう。
では、ご説明していきます。
体内時計について
人間の体内時計は25時間にセットされており、朝の太陽を浴びることで24時間に調節されます。
なので、朝に光を浴びることができないと、体内時計のサイクルが25時間のままになってしまいます。
地球で生きていくためには、この体内時計を24時間にリセットしていく必要があり、人間は太陽の光に支配されて生きています。
睡眠ホルモン(メラトニン)の作用
朝に太陽の光を浴びることにはもう一つ効果があって、それはメラトニンの分泌を抑えて
スッキリ目覚めることができるということです。
メラトニンというホルモンは、人を眠らせたり起こしたりする重要な役割をもちます。 メラトニンの分泌が増えれば眠気も強くなるが、先ほどのように明るい光を浴びるということはそのメラトニンの分泌を抑えるということなのです。 ということは、夜に強い光を浴びれば眠気が起きにくく、入眠の妨げになるということでもありますね。
寝溜めってどうなの?
ところで皆さんは、土日に寝だめをしたのに月曜の朝に「なんか体だるいな〜…」と感じたことはないですか?
これは、土日に朝ゆっくり寝ていることで光を浴びれず、24時間に調整されるはずの体内時計が
25時間のままになってしまうからです。
つまり2日分(2時間)メラトニンの分泌時間に誤差が出るということです。
本来は朝の7時頃に目覚められるようになっていたとしたら、寝だめ後には9時に目覚めるような状態になっているということです。
そんな状態で月曜に朝早く起きようとすると、ホルモンの作用に逆らうことになるので当然体は辛くなります。
「今日も会社か〜…」という精神要因だけでなく、ホルモンの影響を踏まえた肉体的要因が関わってきます。
光の浴び方
光が睡眠に及ぼす影響については先述の通りです。
では、実際にどれくらいの明るさの光を何時までに どのくらい浴びれば良いのでしょうか?
現在の研究での数値としては、5000〜1万ルクス(太陽光に近い)の光を、午前3〜9時の間に
最低30分〜60分浴びる必要があるようです。
逆に、18時以降に強い光を浴びることは入眠時間を後ろにずらしてしまうことになるので
液晶画面やコンビニで強い光を浴びることはなるべく控えましょう。
また、部屋の照明を21時以降ぐらいは間接照明に切り替えるのもスムーズな入眠に効果的でしょう。
余談ですが、この光による体内時計の調節メカニズムは、うつ病の改善法としても応用されています。
意外かもしれないですが、このように光が人間に大きな影響を及ぼすということは1980年代になってから分かり始め
それまで「人間は光には左右されず、社会的要因によって左右されている」と信じられていました。
実践!不眠改善に役立つセルフケア
ここからは普段の生活で役立つ不眠改善方法についてお伝えしていきます。①体温をコントロール
人間は眠る時、体温が急激に約1℃下がります。どのように下げているかというと簡単に言えば冷たい血液を全身に運ぶということ。
では、血液をどのように下げるのでしょうか?それは、手足の担う役割によって行われます。
手足は体の他の部位に比べて薄いので、外気の影響を受けやすいのがその理由です。
手足で冷ました血液を循環させることで体温を下げて眠りに入ります。
眠たくなった時に「なんだか手足が熱いな」と感じることがあると思いますが
それは血液を冷ますために手足で熱を放散しているからなのですね。
〈この事実に基づいてオススメする睡眠環境作り〉
a. 夏は室温を27〜29℃に設定
b. 冷え性の人は手袋・靴下をつけて寝る
c. 湿度のコントロール
a. については、手足を冷やす適温であるため
b. については、普通の人は手袋や靴下で熱放散し辛くなるが、冷え性の人は冷えすぎていると
手足からの熱放散効率が落ちてしまうからです。普通の人が手袋・靴下で寝ると睡眠の質が落ちるというのは本当
c. については、湿度が高いと肌からの気化熱による放散の妨げになるから
②定期的な運動
運動を行うことも、体内時計の調整に役立ちます。
光を遮断した部屋の中で行った実験では、運動をしないよりも運動している方が体内時計が調節されるというデータがあります。
そこでポイントになるのが、いつ・どんな運動をどれくらいすれば良いのかということ。
結論から言うと、夜(寝る2時間前)にヨガ・ストレッチ・ウォーキングのような軽めの運動を
翌日に疲れが残らない程度に行うのが良いでしょう。朝に運動をすることは基本的にはおすすめできません。
車に例えると、冷え切ったエンジンをいきなり全開にするようなものだからです。
人間の体温は日中に上がりますから、夕方や夜に行った方が体への負担は少ないと考えられます。
スポーツ選手を対象にしたパフォーマンスのゴールデンタイムを探す実験でも
夜に行うことでパフォーマンスが上がるという結果が出ました。
運動をすれば当然体温は上がります。が、それから2時間後には放熱が行われます。
前述にもあったように、体温が下がった時に眠気を感じやすいという話に結びつくわけです。
逆に、激しい運動は体を覚醒させますから注意が必要です。
③マットレス選び
マットレスと言われると何を選べいいのか迷いますよね? よく議論されるのは、「高反発 or 低反発」のどちらが良いのか、だと思います。
ズバリ、私たちが体の機能等を配慮してオススメするのは「高反発」です。
なぜかというと…
寝返りが打ちやすいからです。
通常睡眠時には20~40回ほどは寝返りが行われていると言われています。
8時間寝たしとしても15分に1回は寝返り行いトータル32回ぐらい寝返りが行われているのが理想です。
同じ姿勢が長い間続くことがないので痛みも出にくく、寝返りの際に血液の循環がしっかり行われ朝起きやすくなります。
みなさんはこんな経験したことありませんか?
朝起きたて腰が痛くてつらい。
でも日中動き出したら痛みが緩和されて、また翌日の朝に痛みが出る。
まさにこれが上記のような事が起きていると考えられます。 ではそれぞれにどのような特徴的があるのか大手ブランドで比較したいと思います。
「高反発」
高反発のマットレスと言えばエアウィーヴ。
・エアウィーヴの特徴
復元性(体重を押し返す力)が高いので睡眠時の寝返りが楽に。
優れた体圧分散、エアウィーヴの冊子にも書かれていました。
エアウィーヴが行なった研究ではエアウィーヴと反発力の弱くて柔らかいマットレスを交互に使用してもらい
就寝時の睡眠脳波、深部体温を測定して睡眠の質を比較するという研究。
エアウィーヴで寝た際に入眠初期でより強い持続的な深部体温の下降が生じ深い徐波睡眠が出現しました。
入眠前後の体温変化は睡眠促進に重要で、エアウィーヴはより生理的で良質の睡眠をもたらしたという結果です。
実際に寝てみるとあまり沈むことなく寝返りがかなりしやすいマットレスです。
体に馴染む事が出来ますが、低反発のマットレスのようにフワフワとしていて気持ち良さは強くは感じせんでした。
「低反発」
低反発のマットレスと言えばテンピュール。
・テンピュールの特徴
優れた体圧分散により圧迫感の軽減、優れた衝撃の吸収。研究等は記載していませんでした。
しかし寝返りについて記載していました。特徴の中に不要な寝返りの減少と記載しています。
圧力のかかる点。すなわちマットレスが身体に押し付けられる部分は、不快感が生じるきっかけとなり
寝ている姿勢を変えざるを得なくなります。
この寝返りが睡眠の妨げになります。
テンピュール素材は身体にぴったりと沿い点ではなく面で支えるため圧力のかかる点の発生を最小限に抑え
不要な寝返りを減らします。その結果、これまでよりも安らかな、元気を回復できる眠りが得られる。
実際に寝てみると体全体が沈みフワフワで気持ちよかったです。
しかし、溝にはまったみたいに沈むため寝返りはやりにくく感じました。
昼寝など短時間の睡眠にはすごく気持ちと正直感じました。
「寝返り」というキーワードだけで選択するのであれば上記のようなメリットを優先して
高反発のマットレスを選択した方が良いと考えます。
※必ずしも寝返りをしているからと言って痛み等が出ないというわけではありません
④食事のとり方
食事は、1日に何回とらなければならないとか、何時にとるべきか、そんなことは決まっていません。
しかし、決まった時間に食事をとることで体内時計が調整されることが分かってきました。
「腹時計」という言葉があるくらいですから、関わりが深いことは想像できますね。
後もう一つは、ストレスに対抗したりエネルギーを生み出す役割のある”コルチゾール”が規則正しく分泌されるからです。
このように、ホルモンのバランスが整うことで肉体的なメリットも手に入れることができます。
また、深夜の食事は睡眠不足よりも成長ホルモンを減らしてしまうといわれています。
質の良い睡眠をとるには、布団に入るまでに、胃の中は空っぽが重要です。
消化途中の食べ物が胃に残っていると眠りの質を下げることはもとより、エネルギーを貯めようと体が反応し、脂肪としてストックされてしまいます。夕食は軽め、できるだけ就寝の3時間前にはすませるのが理想的でしょう。
夜遅くまで働いている方は”分食”を行う。また、先ほどもお伝えした通り、食事のリズムと睡眠のリズムは密接な関係にあるので、分食にする場合もいつも決まった時間にとるのが良いでしょう。
あとは、冒頭でもあったように、入眠時には体温が一旦下がります。
ですから、夜ぐっすり眠るには深部体温を下げる食品を夕食に取り入れるのも大変有効です。
例えば、冷やしトマト。身体を冷やす性質があるトマトを更に冷やして食べれば体温は下がり、入眠しやすくなるでしょう(※冷えが強い方は食べ過ぎ注意)
⑤不眠に効く栄養素
>睡眠というのは体の中の細胞や組織を修復し新陳代謝を行うためのもので
寝ているときは成長ホルモンや免疫ホルモンが分泌され食事で摂った栄養素と共に組織や細胞の修復を行います。
また脳の神経伝達物質が作られそれが神経細胞に蓄積されることでスッキリと起きられます。
つまり栄養素をとっておかないと体の修復が遅くなったり睡眠に必要なホルモンや
神経伝達物質が作られなくなり睡眠のサイクルが崩れ不眠の原因となります。
またストレスや疲労によりさらにエネルギーを使うので大量に消費することで不足することもあります。
さらに食欲が落ちて食べられなかったりすることで栄養バランスの偏りが生まれます。
なので、ホルモンバランスや自律神経の乱れを調整する必要があります。
自分でできることとして、栄養を補うのが簡単だと考えました。
効果があると言われている栄養です。
・トリプトファン
必須アミノ酸の1つで体内で合成することができません。
このトリプトファンは抗ストレス効果を持つ「セロトニン」睡眠を促すホルモン「メラトニン」など
体にとって重要な神経伝達物質やホルモンなどの原料となっています。
多く含まれている食品
肉、魚介類・納豆・プロセスチーズ
※肉・魚介類は炭水化物と一緒にとるとより効率的に摂取できます。
・ビタミンB6
トリプトファンがセロトニンを合成するのに必要な栄養素となります。
ビタミンB6と一緒に摂ることで初めてセロトニンになります。
多く含まれる食品は唐辛子・ニンニク・マグロ・カツオ・大豆製品などです。
・ナイアシン
ビタミンB群の1つで糖質・脂質・タンパク質の代謝を促しており生命活動にはなくてはならない栄養素です。
これが不足すると優先的に作ろうとし、セロトニンの合成に必要なトリプトファンが材料になってしまいます。
つまりトリプトファンだけ取っていても、ナイアシンが不足していれば意味がないということです。
多く含まれる食品
カツオ・サバ・鶏ササミ・まいたけ・そば(乾燥)などです。
・GABA
天然アミノ酸の1種でγーアミノ酪酸の略称です。神経を興奮させる伝達物質の過剰な分泌を抑える働きをしています。
多く含まれている食品は発芽玄米・野菜(特にトマト)・果物です。
これらは不眠に効果があると言われている栄養ですが神経伝達物質の生成や抑制を行う伝達物質に必要なものです。
ですので、不眠だけじゃなくうつやイライラにも効果があります。
そもそもが自律神経の乱れから起きているものが多いのでうつやイライラといった症状も併発している可能性が高く
そのような方には食事を変えるだけでも効果があると考えます。
⑥嗜好品に関する注意点
現代のストレス社会に生きる我々は、「酒」「タバコ」「コーヒー」などの嗜好品の存在が欠かせません。
しかし、これらも使い方によっては質の良い睡眠の妨げになります。
お酒は、一時的に体温を上げるので、時間が経過して体温が下がった時にその落差で眠気が来やすいですが、寝ている間にアルコールの分解で内臓に負担がかかります。タバコは吸うだけで覚醒作用があります。
ご存知、コーヒーに含まれるカフェインにも覚醒作用がありますから、注意が必要です。工夫するのであれば、コーヒーは午前中まで・タバコは夕食以降は吸わない・アルコールは寝る3時間前までには切り上げるのが良いでしょう。
⑦快眠グッズあれこれ
【振動マットレス〜new ming〜】
皆さんは、電車やその他の場面で体が軽く揺れていると眠くなってきた経験はありませんか?
実は、人間が入眠する際には、この微弱な振動がある方が眠りやすいというデータが出ているのです。
注意して欲しいのは、首や頭に振動がいくと逆に睡眠の質は落ちるということ。
あくまでも体が揺れている状態が理想です。それを実現するのが、振動マットレス。
微弱な振動を流せるマットレスなので、快眠に役に立ちます。
快眠グッズ【カプシエイト(サプリメント)】
唐辛子の主成分であるカプサイシンには、体温を一時的にグッと上げてその後下げる働きがあります。
前述の入眠しやすい状態をサポートすることができるということです。
辛いものが苦手な方はカプシエイトというサプリメントがあるので、就寝時間に合わせて摂取するのも良いでしょう。
入眠をサポートするツボ〜膻中〜
乳頭間を結んだ中間地点にあるのが”膻中”というツボです。
眠りにくい時には、このツボを軽くさするようにして触れるだけで、精神的に落ち着きが出てきて入眠をサポートします。
まとめ
今回は、不眠改善のための実践編ということで、不眠の機序や効果的なセルフケアについてお話ししていきました。
しかしながら、不眠に陥ってしまう原因は十人十色。もしも、ある程度実践しているにも関わらず
なかなか症状が改善されない場合は、このような症状を専門的に診てくれる医療機関に早めに相談された方が良いでしょう。
充実した睡眠生活を送り、健康な毎日をお過ごしください。
【記事作成者 整体太郎と鍼灸花子(吹田市江坂)】